2016/10/26 [ 歯の知識 ]
こんにちは 院長の井川です。
今回は歯科金属アレルギーについて、解説したいと思います。
アクセサリーなどで、かゆみやかぶれがでることは、よく知られていますが、実は歯科材料で使用される金属が原因となってアレルギー症状がでることも、少なくありません。
金属が皮膚にふれて、汗と混じり、金属が少しずつ溶け出します。そして、溶けた金属がイオン化して体内へ入り、体内のタンパク質と結合します。ここで、アレルギーの原因になる、アレルゲンに変質します。
アレルゲンは体にとって異物なので体を守ろうとするために過剰な反応をする。これが金属アレルギーです。
歯科での金属アレルギーは病名では「接触性皮膚炎」と呼ばれています。アレルギーの症状としては局所性と、全身性があり、皮膚の症状としてでてきます。金属が触れた場所以外にも症状がでることがあります。
一般的な治療の一つとして、詰め物や、被せ物は金属を使うケースがあります。最近では白い被せ物をお勧めしている歯科医院も多く、金属アレルギー症状のある患者さんへ対応ができるように、自由診療が行われています。
一般的に保険診療では、銀、パラジウム、金、ニッケル、コバルト、クロムなどを混ぜ合わせた「合金」が使われています。
インプラントには「チタン」という金属を使用しますが、チタンはアレルゲンに変質しにくいため、金属アレルギーを起こさないとも言われています。
チタンは強度も安全性もあり、航空機用にも医療機器にも幅広く使われている元素の一つです。
アレルギー検査は皮膚科だと、保険がききますが、歯科医院では自費となります。症状が出ている人は、まずは皮膚科に相談にいくことをおすすめします。
アレルゲンが歯科材料からでていることが判明したら、原因となっている金属を除去し、アレルゲンフリーのオールセラミックス、またはハイブリッド(セラミックとプラスチックの混合)に交換することができます。
古い金属冠は、歯科医院で確認してもらい、金属アレルギーのでにくい、最新の医療材料で被せなおしの治療をすることも不安の解消になると思います。
今後、日本の歯科においても、欧米の歯科医療のように、口腔内になるべく金属を使わない「メタルフリー治療」が主流となってくるでしょう。