2022/03/22 [ 歯の知識 ]
歯科医院でクリーニングを受けたときに、「磨けていないところがありますね」と言われたことはありませんか?毎日きちんと歯を磨いていても実は磨けていないところは多くあるのです。磨き残しはむし歯・歯周病の原因になります。そこで、今回は磨き残しが多いところや磨き方のコツについてご紹介します。
歯磨きの目的は「歯垢(プラーク)を落とすこと」です。歯垢とは、細菌の塊で1gに100億~1,000億の細菌がいると言われています。そこにはむし歯・歯周病の原因となる細菌が生息しており、磨き残しがあるとむし歯・歯周病のリスクが高くなります。さらに歯垢が発酵してガスが発生すると口臭の原因になります。歯垢は水に溶けにくく、うがいだけでは落とすことができません。そのため歯ブラシで物理的に落とす必要があります。
磨き残しが起きやすいのは、「利き手側の歯の裏側」です。つまり右利きの人は右側、左利きの人は左側が磨き残しが起きやすくなります。中でも以下の場所は意識しながら歯ブラシをあてる必要があります。
・歯と歯の間
・奥歯の溝
・歯と歯ぐきの境目
・奥歯の後ろ
・前歯の裏側
それぞれ磨き方について見ていきましょう。
歯と歯の間を磨くときは、歯と歯の間に毛先を入れ、歯ブラシを小刻みに動かしましょう。ただ歯と歯の間は毛先が届きにくく、歯ブラシだけでは落とすことは難しいです。歯ブラシと併用してフロス・歯間ブラシを使うと良いでしょう。
奥歯のかむ面にある溝は歯ブラシが届きにくく、歯垢がたまりやすい場所です。歯ブラシを大きく動かしたり、力を入れて磨いたりすると上手く落とすことができません。毛先をあてることに意識を向け、小刻みに動かして磨きましょう。
歯と歯ぐきの境目は歯周ポケットと呼ばれる段差があり、歯垢がたまりやすい場所です。この場所に歯垢がたまるとむし歯だけでなく歯周病のリスクが高くなります。歯と歯ぐきの境目に毛先が届くように、歯ブラシを斜め45°にあてて小刻みに動かしましょう。強い力で歯ブラシを動かすと歯ぐきを傷つけてしまうため、軽い力で磨きます。
奥歯の後ろは歯ブラシが届きにくく、歯垢がたまりやすいです。大きなヘッドの歯ブラシでは奥歯の後ろまで届かないことがあります。小さなヘッドの歯ブラシや、毛束が1つになっているタフトブラシを使うのも有効です。歯ブラシの先端部分の毛先をあてるようにしましょう。
前歯の裏側はへこんでいる所やカーブしている所もあるため、磨き残しが多い部分になります。そのため歯ブラシを横にして磨くと毛先が届きにくいです。前歯の裏側を磨くときは、歯ブラシを縦にして上下に動かしましょう。
最後に歯磨きのコツについてご紹介します。ポイントは以下の4つです。
・軽い力で磨く
・小刻みに動かす
・磨く順番を決める
・歯間ブラシ・フロス・タフトブラシを使う
力が強いと毛先が広がり、歯垢を除去できなかったり歯ぐきを傷つけたりする可能性があります。歯ブラシをすると歯ぐきが痛い、歯がしみるといった場合は力を入れすぎているかもしれません。毛先が広がらない程度にあてることを目安に、軽い力で磨くようにしましょう。
歯ブラシを大きく動かすとあたらない部分があったり、お口の中全体に歯ブラシが触れたりすることで磨いた気になってしまう方も多いです。歯ブラシは1歯ずつあてて小刻みに動かします。
歯磨きの時間が長くても、歯ブラシがあたっていないと磨けていないことになります。それを防ぐためにも磨く順番を決めておくと磨き残しを減らすことができます。例えば、左下の裏側から右下へ移動し、そこから右下の表から左下、上の歯に移動して左上の表から右上の裏へなど一筆書きのようにすると良いでしょう。
歯ブラシだけで取り除ける歯垢は約60%と言われています。むし歯・歯周病を予防するには歯垢除去率を80%以上にすることが望ましいです。歯ブラシが届きにくいところには歯間ブラシや歯ブラシ、ワンタフトブラシを使用すると効率よく歯垢を除去することができます。
今回は磨き残しが多いところと、歯磨きのコツについてご紹介しました。磨き残しが多いところは、歯と歯の間・奥歯の溝・歯と歯ぐきの境目・奥歯の後ろ・前歯の裏側です。それぞれに適した磨き方で歯垢をしっかり落とすことが大切です。ただ、人によってお口の中の状態は異なります。WHITIA南烏山is歯科では、患者様一人ひとりに合った歯磨きの仕方を丁寧にお伝えしています。「きちんと磨けているか気になる」「フロスの使い方がわからない」など悩みや不明点があればお気軽にご相談ください。