2024/11/29 [ 歯の知識 ]
私たちの生活の基盤になるのは、やはり体の健康ですね。それでは、歯や口の健康についてはどうでしょうか?お口の健康、つまり「健口」は日常生活に直結しています。
特に、しっかりと噛んで、しっかりと飲み込むことができないと、食事を楽しめないだけでなく、心身の健康も損なわれてしまいます。
本記事では、咀嚼と嚥下の重要性について考え、それがどのように生活の質(QOL)を向上させるかを探っていきます。
「健やかな口」と書いて「健口(けんこう)」と読みます。健口とは、虫歯や歯周病がないことに加えて、食べ物を噛む「咀嚼(そしゃく)」や、飲み込む「嚥下(えんげ)」の能力、発音など、お口の能力がきちんと機能し、健康に保たれていることを意味します。
噛むことと飲み込むことがしっかりとできなければ、食事を心から楽しむことができません。
咀嚼は、食べ物を前歯で噛み切り、奥歯ですり潰す動作のこと。最終的には、唾液と混ざり合い、消化しやすい形へと変化していきます。
唾液には、食べ物の消化を助けるアミラーゼという消化酵素が含まれています。アミラーゼの量は唾液の量と比例しているため、よく噛み、唾液が多く出るほど食べ物の消化吸収が良くなるでしょう。
また、よく噛むことで食べ物本来の味や香り、食感をより豊かに感じられるようになります。じっくりと味わうことで食事の時間を楽しく、豊かなものになるでしょう。
さらに、咀嚼は脳への刺激にもつながり、集中力や記憶力の向上にも役立つと言われています。
嚥下は、咀嚼によって小さくまとまった食べ物を食道を通して胃へと送り届ける動作です。皆さんは、食べ物を飲み込む動作を意識したことがありますか?口の中で小さく砕かれた食べ物は、舌によって喉の奥へと送られ、食道を通って胃へと運ばれていきます。
もし、食べ物がうまく飲み込めずに気管に入ってしまうと、むせたり、肺炎を引き起こしたりする危険性もあります。そうならないためにも、咀嚼で食べ物を適切な大きさにすることと、飲み込む力を保つことが重要になるのです。
そして、咀嚼と嚥下は、歯で噛む力や舌の筋肉など、あらゆる機能が正常に働くことで成り立っています。口腔機能の低下は咀嚼が不十分になる、誤嚥性肺炎を起こすなどのさまざまな悪影響を及ぼします。舌や口周りの筋力のトレーニングを行い、健康的な毎日を送れるようにしましょう。
「食べる」「話す」「表情をつくる」など、お口は私たちの生活に欠かせない役割を担っています。より豊かで充実した毎日を送るためにも、お口のトレーニングをして、健口を保ちましょう。
歯ごたえのあるものを食べて、噛む力を鍛えましょう。アーモンドや野菜スティック、鶏の軟骨などを積極的に摂取してください。
また、ガムや硬めのグミを左右均等に噛むことも効果があります。虫歯になりにくい、キシリトールが配合されているタイプのガムやグミを使用するのがおすすめです。
パタカラ発声訓練は「パ・タ・カ・ラ」と発声する口の体操です。まず「パ、パ、パ、パ、パ」「タ、タ、タ、タ、タ」と短音で5回ずつ発声します。次に「パ、タ、カ、ラ」とゆっくりはっきりと5回発声します。口を大きく開け、しっかりと発声しましょう。パタカラ体操は、口や舌の筋肉を鍛えるだけでなく、小顔効果や顔のたるみを防ぐことも期待できます。
歌を歌うことで口周りの筋肉を鍛えたり、発音を良くする効果があります。「近くにカラオケがない」という方は、テレビの音楽番組で一緒に歌うだけでもOKです。大きな声で好きな歌を歌うとストレスの解消にもなりますよ。
ここでは、お口の健康がどのようにQOL向上につながるのかを具体的に見ていきましょう。
しっかり噛むことは消化を助け、胃腸の負担を軽減します。その結果、栄養の吸収が効率的に行われるだけでなく、免疫力の向上にもつながります。
健康で綺麗な口内環境を保つと、美味しい食事を楽しみながら会話を弾ませることができます。人とのつながりが深まり、豊かな人間関係を築くことにつながるでしょう。
好きな食べ物を味わう時間は、ストレスを和らげ、リラックスさせてくれますね。食事の時間は、私たちの日常生活の中で心を豊かにする大切なひとときです。
お口の健康を意識することによって毎日の食事をより充実させ、体と心が調和した生活を送れるようになります。
食べることは栄養を摂取するだけでなく、人生の喜びの一部です。食事はもちろん、会話することも、お口の健康があるからこそ成り立ちます。
毎日の生活で健口を意識する習慣を取り入れることで、きっと皆さん自身や家族の暮らしにも嬉しい変化が起きますよ。
「健口な暮らし」をモットーに、これからも心身ともに充実した日々を過ごしていきましょう。