2023/11/27 [ 歯の知識 ]

学校の歯科検診と気になる専門用語

秋になると幼稚園や保育園、学校、就学前検診などで歯科検診が実施されます。隣で聞いていると「それってどういう意味だろう？」と感じたことはありませんか？また、Cや/といった記号が記された結果表を受け取った保護者の方の中には、その意味がわからない方もいるでしょう。そこで今回は、学校の歯科検診で用いられる専門用語について学んでみましょう。

乳歯の数と永久歯の数

まず歯の本数を理解しましょう。

乳歯の数え方は前歯から順にA、B、C、D、Eとアルファベットで表され、合計20本あります。永久歯は前歯から始まり、1、2、3、4、5、6、7、8と数字で表され、合計32本です。ただし、8番目の歯は親知らずであり、中には生えない方もいます。

乳歯から永久歯の生えかわりは個人差がありますが、6歳頃から始まり12歳頃に完了します。乳歯のA～Eが永久歯の1～5へ生え変ります。6番目の歯は6歳頃に生えることから「6歳臼歯」7番目の歯が12歳頃に生えることから「12歳臼歯」と呼ばれています。

学校の歯科検診はどのような検査をするの？

お口の健康状態を把握するために、以下の項目をチェックします。

・むし歯の有無：むし歯の進行状態や未処置歯などを調べます。
・歯肉炎の有無：歯ぐきに炎症が起きていないかを調べます。
・歯ならびと噛み合わせ：歯ならびと噛み合わせに問題ないか確認します。
・乳歯の状態：乳歯の生えかわりの状況や健康状態を見ます。
・歯垢や歯石の付着具合：歯垢や歯石が蓄積しているとむし歯や歯肉炎の原因となるため、定期的な除去が必要になります。
・その他の所見：舌や唇、お口の粘膜、顎関節などに異常がないか確認します。

C0や斜線（/）はどのような意味があるの？

「右上DがCO」「下、EからEまで斜線」など耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

Cとはカリエス＝むし歯を意味しており、Oはオブザベーション＝観察を意味しています。そのため「右上DがCO」の場合は「右上の前から4番目の乳歯に要経過観察の歯があります。」という意味になります。

歯科医院の検診では進行度によってC0～C4と応じて細かく分類されますが、学校の歯科検診ではC（むし歯）かCO（要経過観察）という形で表されます。

斜線（/）とは、むし歯がない健康な乳歯や永久歯を指します。「下、EからEまで斜線」の意味は「下の歯の乳歯が10本すべてが生えそろっていて、むし歯もありません。」という意味です。

さらに、以下の記号も使われます。

G：歯肉炎(歯ぐきの腫れ)
GO：軽度の歯肉炎
ZS：歯石
○：治療済みの歯
△：歯がない状態
×：注意が必要な乳歯

歯科検診の意味と頻度

保育園や学校で行われる歯科検診の目的は、子どもに歯の健康の重要性を理解してもらうと同時に、問題を早期発見し、予防や治療につなげることです。

ただ、集団検診となるため、レントゲン撮影を行わず視診によって判断します。そのため、プリントを持って歯科医院へ受診すると斜線だった歯がむし歯であったり、Cと診断された歯が要経過観察になることもあります。特に小さなむし歯は見逃されやすいため、学校の歯科検診に頼るだけでなく、歯科医院での定期的な検診が重要です。

歯科医院での検診は、むし歯や歯ならびなど問題の早期発見に加え、クリーニングや歯みがき・仕上げみがきのアドバイス、フッ素塗布による歯質の強化など行います。定期的に受診することでむし歯の進行防止につながります。

歯科検診の頻度はお口の状態によって異なりますが、3～6ヵ月に1回が目安です。子どもの歯にむし歯や痛みが見られない場合でも、定期的にフッ素塗布やクリーニングを受けることをおすすめします。

まとめ

このように歯科の知識がつくことで、自分自身や家族のお口の健康に関する意識も高まってきますよね。歯科検診はお口の健康を守る手段です。定期的に受けることでお口の問題の早期発見と予防につながります。秋は、学校などで歯科検診が盛んに行われる時期です。この機会に家族全員で歯科医院を受診し、より精密な歯科検診を受けることをおすすめします。お口の健康を維持して、元気に新年を迎えましょう。